「原稿をご用意ください」と言われると、会社案内のような完成した文章を書かなければならない気がします。しかし、制作前に本当に必要なのは、きれいな言い回しよりも何が事実で、誰に、どこまで伝えてよいかが分かる材料です。

結論から言えば、最初に集めたいのは「相手」「事実」「仕事の流れ」「写真」「確認担当」の5つです。文章を一人で完成させるのではなく、社内に散らばっている情報を一枚のメモに集めるところから始めます。

自社の強みをどう書くか迷っている方は、仕事のメモから見出しと説明文をつくる例をご覧ください。大きな言葉を足さずに、日々の仕事を伝える方法を整理しています。

1. まず「誰が、どんな場面で読むか」を一人に絞る

「幅広い方に見てほしい」だけでは、何を先に説明するか決まりません。同じ会社でも、新しい取引先、求職者、近隣のお客様では疑問が違います。ページごとに、最初の読者を一人だけ決めます。

  • 設備工事会社のサービスページ:発注前に、対応できる工事と地域を確かめたい担当者
  • 美容室の初回案内:雰囲気だけでなく、予約方法や過ごし方を知りたい方
  • 製造業の技術紹介:加工できる材質・大きさ・相談の流れを確認したい担当者
  • 採用ページ:仕事内容と働く一日のイメージをつかみたい応募検討者

これは説明のための仮例です。GRAVIの制作実績や、実在する会社の条件を示すものではありません。

2. 「変わりにくい事実」と「確認が必要な内容」を分ける

事業内容、所在地、問い合わせ方法、対応範囲、営業時間など、公開できる事実を並べます。その横に、誰の確認が必要かを書きます。数字や対応地域、資格、設備、求人条件は、古い資料をそのまま使わず、現在の担当者に確かめます。

材料書くこと確認先
サービス何を、どこまで対応するか現場・営業
営業情報地域、時間、予約や相談方法受付担当
根拠資格、設備、制度など公開できる事実責任者
更新情報今後変わりそうな内容更新担当

確認できない情報は、良さそうな表現で埋めません。「未確認」と残す方が、公開後の訂正や誤解を防げます。

3. お客様から実際によく聞かれる順に並べる

原稿の見出しは、会社が言いたい順ではなく、読む人が判断したい順にすると分かりやすくなります。メール、電話、商談で繰り返し聞かれる質問を、個人情報を除いて書き出します。

  1. 依頼できる内容は何か
  2. 自分の地域・状況でも相談できるか
  3. 依頼前に何を準備すればよいか
  4. 相談してから、どのように進むか
  5. どこから問い合わせればよいか

すべてのページで同じ答えを書く必要はありません。サービスページは対応内容、写真ページは現場の様子、問い合わせページは連絡方法というように、ページの役割を分けます。

4. 「こだわり」を、読んだ人が判断できる説明に変える

「丁寧」「高品質」「お客様第一」は、大切にしている姿勢です。そこに普段の行動を添えると、読む人が「自分の相談でも、こう進めてもらえるだろうか」と考えられます。まずは、いつ、何を確認し、その結果をどう伝えているかを書き出しましょう。

強みを聞くより、仕事の一場面を聞く

社内では当たり前のことほど、原稿の材料として見落としがちです。担当者に「強みは何ですか」とだけ聞くのではなく、実際の仕事をたどる質問にしてみます。

抽象的な言葉から、原稿の材料を集める質問
伝えたい姿勢実際の仕事について聞くこと
丁寧に対応する最初に何を聞き、説明が行き違わないように何を確かめるか。終わったあとに何を渡すか。
品質を大切にするどの工程で、何を基準に確認するか。問題が見つかったとき、どう扱うか。
相談しやすい最初に決まっていなくてもよいことは何か。相談の前に必要な資料や、対応が変わる条件は何か。

答えは、現行の案内や担当者が説明できる手順と照らし合わせます。一度だけ行った特別対応と、普段から提供している対応を分け、確認できない内容は「確認中」と残します。

例:「寄り添った提案」を、見出しと説明文にする

以下は、商品を選ぶ相談を受けるお店を想定した架空の記入例です。GRAVIの実績や、実在するお店の提供内容ではありません。文章だけを自社用に置き換えず、同じ対応を実際に行っているかを確認してください。

集めた仕事のメモ(仮の例)

  • 使う場所と、手入れで重視することを聞く。
  • 候補ごとの素材や扱い方の違いを説明する。
  • 実物見本で比べられる商品もあるが、すべてではない。
  • 見本の有無と取り寄せ条件は、商品ごとに確認する。

このメモから読み手が判断できるのは、「使い方を話しながら、候補の違いを知れること」です。見出しではその入口を短く伝え、本文では実際の進め方と条件を補います。

見出しの例
使う場所から、選び方を一緒に。

説明文の例
使う場所や、手入れで重視することを伺い、候補ごとの素材や扱い方の違いをご説明します。実物見本の有無と取り寄せ条件は、商品ごとに確認します。

「何でも対応」「必ず満足」と言い切らなくても、相談の様子は伝えられます。親しみを出したいなら会話の始め方を、専門性を伝えたいなら判断する項目を詳しくするなど、確かめた事実をもとに言葉の調子を整えます。

公開前は、文章と実際の対応を並べて確認する

  • 普段の対応を書いているか。担当者や商品による違いがあるなら、必要な条件を添えているか。
  • 「できること」と「これから取り組みたいこと」が混ざっていないか。
  • 写真と文章で同じ内容を伝えているか。写っていない作業や実施していない確認を、写真の説明として足していないか。
  • 実際の担当者が内容を確認できるか。変更があったときに誰が原稿を直すか分かるか。

会社らしい言葉は、特別な実績が見つかるまで待たなくても探せます。いつもの説明、選ぶときの基準、断るときに案内していること。その一つを具体的に書くことが、比較検討する人への判断材料になります。

5. 文章と写真を別々に考えない

文章で「店内は落ち着いた雰囲気です」と書くなら、光、席の間隔、入口からの見え方が分かる写真が助けになります。技術を伝えるなら、完成品だけでなく、工程、道具、確認する手元が候補です。

先に文章を完成させてから写真を探すのではなく、「この説明を、どの場面で確かめられるか」を一緒に考えます。撮る内容はホームページ写真の準備で、掲載許可や撮影条件と合わせて整理できます。

制作会社へ渡す「一ページ一枚」の原稿メモ

ページごとに次の5項目を箇条書きにします。文章として整っていなくても、何を確認し、どこを相談したいかが伝わります。

原稿メモ

  1. このページを最初に読む人
  2. 読んだあとに分かってほしいこと
  3. 掲載できる事実と出典資料
  4. 一緒に見せたい写真・図
  5. 最終確認する人と更新が必要になる条件

たとえばサービス紹介なら、「初めて相談する法人担当者」「対応範囲と進め方が分かる」「現行の営業資料を確認」「作業風景と打ち合わせ写真」「営業責任者が確認」といった形です。

原稿は、検索語を増やすためではなく判断を助けるために

Googleの公式ガイドも、検索エンジンだけを意識した大量の文章ではなく、想定する読者にとって有用で、ページの目的を果たせる内容を重視しています。タイトルや見出しは内容を要約し、他のページの言い換えではなく、そのページでしか得られない判断材料を入れます。

参考:Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」(2026年10月16日確認)

次にすること

既存の会社案内、営業資料、よくある質問、写真フォルダを集め、まず一ページ分だけ原稿メモを作ってみてください。完成文にする前に、事実の不足と確認担当が見えてきます。

GRAVIでは、原稿が揃っていない段階から、ホームページ制作、言葉と見せ方の整理、写真・映像の準備を相談できます。まだ決まっていない項目も、そのままお知らせください。